検査装置における画像とカメラの重要性
本記事ではAI外観検査装置を導入する上で、AIの学習に重要な画像また画像を取得するためのカメラについて説明します。
画像とカメラの関係はとても重要
まずAI外観検査装置において、AIの手法やロボットなどの自動化ハードウェアが重要なのはわかるが、画像やカメラまで記事にするほど重要なのかと思う方もいるかもしれません。
しかし、結論から言うと、とても重要です。
どんなに最先端で高性能な手法を用いても、そもそもAIが学習するデータの精度が低ければ、AIを使って現場で成果を出すことは困難です。といいますのも高精度なAIには「手法」と「質と量を兼ね備えたデータ」が必要になるからです。
AI外観検査機において質と量を兼ね備えたデータとは「画像」にあたります。また、この質の良いデータを得るものが「カメラ」になります。
そのため、高精度なAIシステムを作るうえで画像とカメラは重要な存在になります。
質の良い画像とは
外観検査における質のいい画像の条件は以下の3つです。
- 高解像度
- ほどよい明るさ
- 欠陥の可視性
① 高解像度
まず解像度が大きいことで画像中にある欠陥部分の画素数が増えます。その分欠陥を見つけやすくなるため解像度が重要になります。しかしながら解像度が高すぎるとAIで処理をする際に時間を要してしまうので状況に応じて見極める必要があります。
② ほどよい明るさ
次にほどよい明るさですが、明るすぎると白飛び、暗すぎると影で欠陥を見つけるのが困難になります。そのため明るさも重要になりカメラの絞りや照明で調整する必要があります。
③ 欠陥の可視性
最後に欠陥の可視性ですが、見えない欠陥を見つけることは困難です。また人が正解をAIに教えるときにも間違った正解の付与や欠陥の見逃しなどをしてしまうと、画像の質だけではなく正解データの質も下がってしまいます。そのため外観検査の対象製品にあわせて、欠陥がよりはっきり撮影できるカメラを選ぶ必要があります。
まとめると、質の良い画像を取得するためには「問題設定にあった適切な解像度」、「明るさの調整」、「欠陥を見つけやすいカメラ選び」が重要になります。
カメラの選定基準
質の良い画像を得るためにカメラ選びが重要とわかっていただけたと思うので、次はどんなカメラがあり、どのような画像が得られるかという点についてです。
カメラの種類は大きく分けて2つあります。「ラインスキャンカメラ」と「エリアスキャンカメラ」です。
ラインスキャンカメラは、横1画素の範囲しか見ないカメラで露光時間を長くすることでその場所を通ったものを撮影できるカメラです。
一方エリアスキャンカメラは一般的に出回っているデジタルカメラやwebカメラのように広範囲を瞬間的に撮影するカメラです。
下の図は同じギヤを回転させながらラインスキャンカメラとエリアスキャンカメラで撮影したものになります。ラインスキャンカメラは回転しているが、歯が横並びになっているのが特徴です。
対象物体の特徴によりラインスキャンカメラの方が綺麗に撮れることもあればその逆もあります。
また、どちらのカメラもカラーカメラとモノクロカメラがあります。その名の通りカラーカメラはカラー画像、モノクロカメラは白黒画像が撮影できます。カラーとモノクロもどちらの方が優れているとは言いず欠陥の種類や大きさによっては見やすさが異なります。
以上のようにカメラの種類により得られる画像が異なるため、対象物体や欠陥に合わせたカメラの選定が質のいい画像の取得に繋がり、更にはAIの精度に繋がります。
画像検査装置における画像とカメラの重要性のまとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では、AI検査機における画像の重要性と画像とカメラの関係についてまとめました。
弊社ではこのカメラで前回上手くいったから今回もこれに決定だ!と考えず、この形状、質感の製品はこのカメラで検証してみようと常に質の良いデータ作りのためのカメラ選びを心がけています。
AI外観検査装置の導入をご検討の方はぜひ参考にしてみてください。