AI 外観検査の導入で失敗する3つのポイントについて
目視で行なっている外観検査を AI に置き換えたいけれど、うまくいくのか不安に思っている生産現場の方も多いのではないでしょうか?
今回は、AI 外観検査装置を開発し、実際に生産現場の量産ラインに導入している弊社の経験から、AI 外観検査を導入する上で失敗する3つのポイントについてご紹介しようと思います。
失敗するポイント1:AIに対する過度な期待
AI外観検査機を生産ラインへ導入する際には、当然様々な課題が出てきます。
例えば、製品に傷はないが、ゴミ/繊維物/汚れなどが付着していたり、製品の色にばらつきがあったり、製品が濡れていることがあるなど、AIが判断を間違えることもできてきます。また1つのラインで複数の製品を製造しているといった課題もあるでしょう。
こうした現場で発生する実務的な課題を無視して、AIを万能の手法だと信じている方は意外と多く、AIさえ導入すれば、全てを簡単に解決できると思われている方もいらっしゃいます。
AIを万能だと思うがゆえに、生産現場にAIを導入しようとして、うまく解決しない場合に、生産現場のチームのせいにしてしまうこともあるかもしれません。
AIは万能ではなく、AIを生産現場に入れていくためには、現場で発生する1つ1つの課題に対して
- AIで解決する課題
- 生産設備で解決する課題
- 画像処理やアノテーションで解決する課題
- 不良品基準の見直しで解決する課題
- 工程順で解決する課題
など、色んな切り口から解決方法をひとつひとつ検討する必要があります。自社で全て解決しようとすると、思わぬ課題でスタックし、膨大な時間がかかって前に進まなくなることもあると思います。その場合には既に現場にAIの現場への導入実績がある経験者に聞くのも一つの手になります。
失敗するポイント2:検証の目的があいまい
AI技術は、まだ本当の意味では確立されていないが故に、PoC(Proof of Concept)を挟み、AIで本当に検査ができるのか、評価して、事前に確認する検証フェーズを設けることがあります。
ただし、PoCは結果にコミットする訳では無いために、ゴールを明確にしないまま進めてしまうケースが多いです。設立当初の弊社も同様でした。
PoCとして、どこまでやれば良いのか依頼側も依頼された側も判断できずに、PoCから抜け出せなくなります。
また、仮にAIで良い結果が出れば、あれもこれもと、お客様の要求もどんどん上がってきます。そして、当然要求が上がったことにより、PoCは長期化してしまいます。
すべてはゴールを明確にしなかったことが原因です。
失敗するポイント3:人の判定精度への過信
人による外観検査をAI外観検査に置き換えるには、どうすれば良いのでしょうか?
答えは簡単です。
人の精度よりAIの精度が高ければ置き換えられるのです。
しかし、人の精度=100%と考えていると、どれだけ時間と労力をAIに投資しても、AI外観検査機を導入することは不可能です。
例えば自動車業界では、製品の欠陥基準を見るときに「欠陥無きこと」という記載があります。
果たして、この欠陥基準で人の精度が100%と言い切れるでしょうか?
同一人物によるバラツキもあれば、作業者同士のバラツキもあり、人の精度は100%では無いということになります。(過剰品質かもしれない、流出もクレームになっていないだけかもしれない)
なので、まず人の精度を数値化することが重要となります。同時に欠陥に対しても分析が必要です。
弊社では、独自のノウハウで人の精度を数値化し、欠陥画像から特徴を出し、基準を再定義しAIプロジェクトを推進する方法を取っています。
人の精度=100%と考えていたら、あなたのAIプロジェクトは失敗してしまいます。
AIを万能の手法だと信じている方へ
AIができることを一言でいうなら、inputとoutputの関係式を作っているだけです。
人間では分析しきれないパラメータのパターンから導き出せることはすごいことですが、言い換えれば、ただ計算関数式を作っているだけです。
しかも、inputとoutputを与えるのは結局人間です。
Inputとoutputの組合せ次第でAIは如何様にも変化してしまいます。
なので、AIだから何でもかんでもできるということは決してありません。
AIの特徴を理解した上で、「作る/使う」ができなければ、実装は不可能です。
AI外観検査で失敗する3つのポイントのまとめ
いかがだったでしょうか?
AI外観検査の導入で失敗する3つのポイントをご紹介しました。
・AIは万能の手法ではない
・ゴールとなる検収条件を明確にすること
・人の判定結果は必ず正しいわけではない
AI外観検査装置をご検討の方はぜひ参考にしてみてください。