外観検査におけるアノテーションの重要性
AI開発でよく耳にする言葉として「アノテーション」というものがあります。
アノテーションとは、AIが学習するために、テキストや音声や画像などあらゆる形態のデータにタグを付けて、「意味」をもたせる作業のことです。
ここでは、外観検査におけるアノテーションについて説明します。
AI外観検査システム構築の6つのステップ
AI外観検査システムの構築には以下の6つの Step が存在します。
アノテーションとは
今回は3番目のステップであるアノテーションについてお話をします。
どのデータに対しても言えることですが、データだけ存在していても何の意味も持ちません。
データに意味が加わることで、ようやくデータとしての価値を持ちます。繰り返しになりますが、このようにデータに意味を付ける作業のことをアノテーションと言います。弊社では、画像データに不良ラベル(キズ、打痕、圧痕など)を付けています。
アノテーションの重要性
アノテーションは単純作業に見えて、AIモデル作成において極めて重要なプロセスです。
なぜなら、アノテーションの出来はAIモデルの精度に直結するためです。
優れた師匠がいなければ、優れた弟子は存在しません。
現実では、優れた師匠の元でなくとも圧倒的な才能を持つ弟子が育つこともありますが、AIの世界でそのようなことはありません。
AIは教えられた通りのことしか出来ません。
そのために正しく指導すること(アノテーション)が重要になってきます。
よいアノテーションを行うために何が必要なのか
よいアノテーションとは何かと考えると、AIが判定に悩まないような一貫した教材であることが必要です。そのためには以下の3つのポイントが重要です。
① 欠陥が判断できる画像を用意する
まず一つ目ですが、当たり前だとお叱りを受けるかもしれませんが、欠陥がきちんと見える画像を用意しなければなりません。
AIは万能ではありませんから、見えていないものは当然正しく判定できません。実物の製品を人間が見て見つけた欠陥と同じ位置にアノテーションするだけではうまくいきません。
重要なのは、撮影した画像で欠陥が判断できることです。
実製品を人間が目視して見つかる欠陥が画像でも正しく見えること、そして実製品の目視で欠陥が見つからなかった箇所に画像上でも欠陥が無いように見えること、この二点は確認すべき点です。
上記が達成できてはじめて、アノテーションという作業に移行できます。もし達成出来ない場合は撮影環境から見直す必要があります。
② アノテーションルールの明確化
アノテーションを行う上で、重要なことの一つに「アノテーションルール」があります。
ここでいう「アノテーションルール」とは何かというと、「ラベルの名称」と「欠陥の囲い方」です。
「ラベルの名称」はイメージしやすいと思います。ラベル名称のルールが定まっていなければ、欠陥が見つかった場合にどのような欠陥に分類され、タグ付けされるのかが分かりません。
例えば打痕という欠陥が見つかった場合に、「打痕」「ダコン」「dent」等が考えられます。
「欠陥の囲い方」は何が正解となるかは一概には言えませんが、一つのAIモデルを作成する上では統一した方がよいでしょう。
例えば、欠陥のみを囲う or 欠陥+背景も囲う 等が考えられます。
③ 正確なアノテーション
こちらも当然ですが、アノテーションの精度も重要です。
弊社では、製造業の現場にAIを実装する豊富な経験から、ここに記述している以外にも、正確かつ短時間でアノテーションを実施できる仕組みを構築しております。
詳しく聞きたい方は、弊社にお問合わせください。
AI外観検査におけるアノテーションの課題のまとめ
いかがだったでしょうか?
AI外観検査におけるアノテーションの課題をご紹介しました。
アノテーションはAIアルゴリズム開発において重要な工程となります。そして、良いアノテーションを行うためには、
- 適切な画像を撮影する事
- 明確なアノテーションルールの設定
- 精度の高いアノテーション
が重要になります。
AI外観検査装置をご検討の方はぜひ参考にしてみてください。