カルマンフィルタ
カルマンフィルタは、信号やデータの状態推定に使用されるフィルタリング手法です。画像処理AIにおいても、動画やセンサーデータなどの時系列データに対して状態推定を行うために利用されることがあります。
カルマンフィルタは、次の2つのステップから構成されます:
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予測ステップ(予測フェーズ): カルマンフィルタでは、現在の状態を予測するための予測ステップが最初に行われます。現在の状態とその誤差共分散行列を使用して、次の時刻の状態と誤差共分散行列を予測します。この予測は、システムのダイナミクスモデル(状態遷移行列)を用いて行われます。
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更新ステップ(更新フェーズ): 予測ステップで予測した状態と予測誤差共分散行列を元に、観測値との差異を考慮して状態を修正します。観測値と予測値の誤差を計算し、カルマンゲインと呼ばれる重み付け係数を用いて状態修正を行います。カルマンゲインは、予測誤差共分散行列と観測モデルの共分散行列から計算されます。更新ステップによって状態と誤差共分散行列が修正され、最新の状態推定結果が得られます。
カルマンフィルタは、システムのモデルと観測データの統計的な特性を仮定して動作します。具体的には、状態遷移モデル(ダイナミクスモデル)と観測モデル(観測行列)を定義する必要があります。また、初期状態と初期誤差共分散行列も指定する必要があります。
カルマンフィルタは、ノイズや外れ値の存在するデータに対しても比較的頑健な状態推定を行うことができます。また、計算効率が高く、リアルタイム処理に適しています。